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平成30年度 わたしの未来ぷらす塾 「あなたはどう輝く?100年ライフのこれから~

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年4月1日更新

第1回 6月16日(土曜日)
人生100年時代 知っておきたい女性と年金   
                      講師:社会保険労務士 米子 真理さん

 初回は、老後の生活を支える公的年金制度がテーマです。女性は働き方や独身、既婚などのライフスタイルによって将来受け取る公的年金額が変わってきます。社会保険労務士の米子真理さんを講師に迎え、社会保障の現状を知り、将来のリスクを見据えて社会保険や年金について、今から出来る対策について考えました。
 私たちが働けない事態に陥った時に保険給付という形で面倒をみてくれるのが社会保険ですが、公的年金制度も社会保険に含まれます。公的年金は国民年金(基礎年金)と上乗せ年金(厚生年金等)の二階だての仕組みになっており、どの制度に入るかは働き方で決まります。受取りは原則65歳からとなっており、保険料納付期間と免除期間を合わせて10年以上の期間納めていることが条件となります。
 基礎年金を早めにもらいたい場合、希望すれば60歳から受取ることが可能です。これを「繰り上げ」といいますが、繰り上げは一月につき0.5%~最大30%減額され、一生減額された年金を受け取ることになるなどいくつかデメリットもあります。反対に年金を65歳から受取らず据え置くことを「繰り下げ」といい、66歳以降に年金を受け取ると最大42%年金が増えることになります。
 しかし「繰り上げ」と「繰り下げ」ともに平均寿命まで生きると、収支は同じくらいです。「本当に働けなくなった時のためにお金を置いておきたい人、元気なうちにお金を使いたい人、制度を利用する背景は様々なので、年金の仕組みをよく知ってどう生きたいか家族で話し合うことが大切だ」と、講師の米子さんはアドバイスされました。
 その他にも、パートの厚生年金加入はお得なのか、離婚した場合の年金はどうなるのか、少しでも年金を増やしたい場合はどんな方法があるのかなど、様々な年金についての事例を紹介いただきました。
 年金は百人いれば百通りです。まずは必要な公的な保障制度を知り、今の自分の棚卸を行って、この先どうしたいか、お金、健康、地域や人とのつながりなど自分に足りないものを知ることで一歩踏み出す行動に繋がっていきます。米子さんは「制度を知ったうえで主体的に選択することが大事。本当の保障は健康と人とのつながりでなないでしょうか」とお話され、受講生はこれからの人生への活力を得ることができました。

受講生の声

 ◆興味深く拝聴しました。今が一番若いを励みに一日一日を大切に積み重ねていけたらと思います。人との関わりも大切にしていきたいと考えさせられました。

 ◆年金は100人いれば100通り。たくさんあって難しいけれど知っていると知らないとでは違うので、今日のお話は大変ためになりました。

第2回 6月23日(土曜日) 
わたしの道を拓く~作家ビアトリクス・ポターが護りたかったもの~

                                                   講師:松山おはなしの会 会長 光藤 由美子さん

 第2回は、ピーターラビットの生みの親でイギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターの人生を取り上げました。封建的な時代にいかにして自分の道を切り開いていったのか、イギリス児童文学研究家で、英国ビアトリクス・ポター協会会員でもある光藤由美子さんに解説いただきました。
 ビアトリクス・ポターは1866年ロンドンの裕福な家庭に生まれ、当時の上流階級の習慣に習い、学校へは行かず家庭教師に教育を受ける生活でした。ビアトリクスはペットを飼い、たくさんの動物たちを観察し多くのスケッチを描いています。彼女は特に菌類、キノコに興味を惹かれ、独自の研究を行い、学術論文を菌類学会に提出するまでになりますが、男性優位の時代、女性の論文は軽く扱われ、女性であるがゆえに菌類学者の道を閉ざされることになります。
 ビアトリクスが絵本作家として歩むきっかけになったのは、元家庭教師の息子あてに送っていた絵手紙でした。この時期に知り合った牧師のローンズリー氏は、自然保護団体ナショナルトラストの提唱者で、彼女に多大な影響を与える人物です。
彼の協力により1902年「ピーターラビットのおはなし」を出版しました。
 また、彼女は出版社の担当編集者と恋に落ち婚約しますが、ほどなくして彼を白血病で亡くしてしまい、深い悲しみに暮れることになります。悲しみから逃れるように仕事に没頭し、数多くの作品を生み出すと同時に、絵本の印税で開発の危機から守るため、湖水地方の土地や農場をどんどん購入していきました。
 1914年47歳の時、土地物件の相談をしていた弁護士と結婚。買い取った大農場で、絶滅の危機にあった湖水地方産の羊の保護、品種改良に努め、女性として初めて綿羊協会会長に選出されるなど牧畜家としても才能を発揮しました。
 ビアトリクス・ポターは亡くなる時に、4300エーカーの土地(例えると東京ディズニーランド約34個分、例えると興居島約2島分)と16の農場を遺言でナショナルトラストに寄付しています。
 受講生たちは、絵本とともに芸術家としての目で見た美しい風景を未来に残してくれたビアトリクスの生き方や考えに触れながら、話に聞き入っていたようでした。

受講生の声

 ◆久しぶりに絵本の楽しさを伝えていただきました。帰ったら絵本に親しみ、自然についても考えてみたく思いました。

 ◆ピーターラビットが作られた歴史や思いが聞け、普段触れることがない話が聞け、楽しかったです。日本と外国の文化の違いも知れ、良かったです。

第3回 6月30日(土曜日)
オンナのつながる力と元気力!~シナプソロジー体験付き~

                        講師:能力開発システム研究所 代表取締役、シナプソロジーインストラクター 木曽 千草さん

 第3回目は「つながる力と元気力」にあふれた女性たちに共通することを取り上げて受講者の方々のゆるやかな連携を目指します。コミュニケーション向上の効果もある「シナプソロジー」も体験し、活気を向上させ人とつながる心地よさを見直します。
 講義の初めに講師の木曽さんが「今日意識すること」を提案しました。1元気に受講する 2次につながるアクションを起こすため、多くの方とつながって帰る 3相手の輝きポイントを伝える。自分の輝きポイントを増やす 4都合のいい時だけ女性と年齢のせいにしない。以上の4つです。
 この4つを踏まえて「つながる力と元気力」にあふれた女性達に共通することを考えました。まずは「笑顔がいい、自分から挨拶する」ですが、笑顔で返すと相手にも自分にも良い効果が生まれるフェイシャルフィードバック効果が生まれます。また、健康の視点から見ると「アドレナリン」が適度に分泌され、α波を発生させ心身ともにリラックスして集中することができます。実際に良い印象を与える笑顔の練習も行いました。
 他にも「相手に興味を持つ大らかで心が広い」「心の柔軟性を持っている」ことや、「相手の意見も受け止めながら自分の考えを大切にして、自分の意見もいえる覚悟を持っている」など、様々な共通点が挙げられました。受講生は、自分の自己紹介を相手に話す、相手の話を聞くというワークに取組み、様々な人とつながるきっかけを作りました。
 講義の後半はシナプソロジーを使って、脳の活性化を図りました。シナプソロジーとは二つのことを同時に行う、左右で違う動きをするといった普段慣れない動きをすることで脳に適度な刺激を与え活性化させるプログラムです。脳に混乱を起こすことが目的なので失敗してもいいのです。シナプソロジーを継続的に行うと記憶力や認知機能の向上、抑うつ感、倦怠感の低下など様々な良い効果が生まれます。
 シナプソロジーを行ううちに自然と笑顔が増え、楽しく和やかな時間を過ごすことができました。

受講生の声

 ◆座って受講するだけではなく、講師の表現豊かなご指導が魅力的でした。しっかり元気力をいただきました。

 ◆初めての方との会話で多くの方のつながり、お人柄、楽しさがわかり時間が早く感じました。身体も軽くなったようです!

第4回  7月28日(土曜日) オープンカレッジ
将来は過労老人?~知っておきたい貧困問題~ 
             講師:NPO法人ほっとプラス 代表理事 藤田 孝典さん

 最終回はオープンカレッジ形式で開講し、ソーシャルワーカーとして生活困窮者支援を行っている藤田孝典さんを講師にお招きして高齢者の貧困問題についてお話しいただきました。
 はじめに講師から現在の日本の相対的貧困率は15.6%(所得にすると1人世帯で122万円、2人世帯で170万円未満で生活するライン)で、この直近20年で社会に貧困が拡大したと説明がありました。
 特に単身世帯や高齢世帯の貧困が増加している点について、核家族化が進み、個人の生活を家族全体で支えていた従来の日本型家族システムの崩壊している一方で、時代に応じた社会保障制度の構築が遅れていることが原因であると指摘されました。高齢者(65歳以上)の貧困率は高く、5人に1人が貧困状態で、中でも単身の高齢女性は52.3%と高い貧困率で深刻です。
 藤田さんは、生活保護を受給している高齢者が増える一方、生活保護基準相当で生活している、またはその恐れがある高齢者「下流老人」や働き続けないと生活できない「過労老人」も全国で700万~1100万人おり、現在も増加傾向にあると述べられました。「下流老人」にあたる高齢者は、収入が少ない、十分な貯蓄がない、頼れる人もいないという三つの特徴があり、あらゆるセーフティネットを失った状態にあるといえます。病気、介護、離婚など突発的な事態による出費で誰もが「下流老人」になる恐れがあり、一度陥ると自力で解決するのが非常に困難であるからこそ、社会問題として対策する必要があると強く述べられました。
 年金・介護などの社会保障制度が働けなくなったときに安心して暮らせる制度になっていない点を挙げ、この問題を解決するには個人の努力と並行して社会政策を変える必要あるということをお話しいただきました。
 個人でできる対策として、高齢者が社会保障・福祉支援制度について制度を正しく理解すること、困ったときはプライドに囚われずソーシャルワーカーや福祉事務所に相談し、制度を活用すること、地域社会に積極的に参加し社会とのつながりを持つこと、そして困ったときに助けてと言える力「受援力」を身に付けておくことなどを挙げられました。受講生は誰もが陥る恐れがある「貧困問題」を改めて認識し、真剣に聞き入っていました。

受講生の声

 ◆自分一人では集めにくいデータなどを知ることができて、とても驚きました。もっと自分たちがおかれている状況を知る必要があると感じました。

 ◆なんとなく気付いていた貧困問題ですが、数字で見るとより深刻な状況が分かりました。他人事ではないと改めて感じました。