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令和2年度 アドバンスセミナー

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年4月1日更新

8月1日(土曜日)
「児童・思春期の子どもたちに寄り添うためのマインドフルネス入門」
       講師:ヒューマンウェルネスインスティテュート代表、心理学博士 石井朝子さん

 アド1 アド2

 今年度は反響が大きかった昨年度に引き続き、児童・思春期の子どもたちを支援する教育・医療関係の方々を対象にした、問題行動を繰り返す子どもたちに寄り添うためのマインドフルネスを取り上げました。マインドフルネスとは、自分の体や心の状態に気づく力を育む「心のエクササイズ」のことを言います。
 理論編では、弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy:DBT)についてのお話を伺いました。DBTの基本は、対極にあるものを調和・統合させる、変化の受容についてバランスを取れるように導くというものです。このDBTの中核となるマインドフルネスを取り入れることで、白か黒かどちらかに二極化してしまうバランスの悪い思考を見直し、自分と違うものを受け入れることができるようになります。
 衝動的な行動を起こす子ども達は、否定や無視をされたり、小さな事でも激しい反応をされたりする不承認な環境に置かれている場合が多いそうです。問題行動を起こす子ども達だけではなく、不承認な環境を作ってしまう家族も一緒にマインドフルネスをしていくことで、より良い家庭環境を整えることができます。
 さらに、世の不安の中心にある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の及ぼす影響とマインドフルネスの効用についても伺いました。COVID-19により、健康な子ども達も心のバランスを崩してしまうことが増えており、傷つきやすくなった心が感情的にならないようにする為に、「ABC Please」というスキルを学びました。ポジティブな事を蓄積することや、簡単な事からやり遂げて達成感を持つこと、困難な場面を予想して対処の練習をすること等の他、十分な睡眠や正しい食生活、適度な運動といった規則正しい生活を心掛けることで、感情のバランスをとることができるようになります。この「ABC Please」は、子どもだけではなく大人にも有効です。
 実践編では、マインドフルネスの中でも比較的簡単にできる手の観察、身体全体を使って木のようなポーズをするTTポージングを行いました。
 手の観察は、指の関節のしわや指紋を観察し、手のひらのしわや手全体の匂い、指の匂い等を感じ、最後に手の甲を観察します。観察する中で感じた事や自身から出てくる思考や感情に気付き、それを手放すことが重要なポイントです。受講生からは、不思議な感覚を得た、ゆったりとした気持ちになれた、といった感想が挙がりました。
 次にTTポージングを行いました。まず足を肩幅に開き、両手を前に出し、膝を少し曲げて8秒かけて呼吸をします。次にそのまま両手を左右に広げ、少し前傾姿勢になり呼吸をします。最後に右足を左足の膝関節の横につま先を地面に向けるように付けて片足立ちでバランスを取りながら呼吸をします。受講生からは、焦りの感情を感じた、8秒間呼吸をする中で自分が生きているということを感じた、という感想が挙がりました。
 石井さんはマインドフルネスの実践にはとにかく練習が必要だと述べられました。支援者にマインドフルネスを実践してもらうために、どうすればより伝わるかを考えながら受講している姿が印象的でした。

受講者の声

 ◆マインドフルネスの理論も大変わかりやすかったです。日頃の自分自身、また関わる子どもたちが中道を歩けるようにするために、マインドフルネスの実践をしていきたいと思いました。

 ◆子どもだけではなく、自分にも当てはまるようなので、まず自分を見つめ直すようにしていき、それと並行に子どもたちの支援をしていきたいと思いました。

 ◆初めて参加しましたが、とても勉強になりました。支援者側として考えさせられることがたくさんありました。