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平成30年度 アドバンスセミナー

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年4月1日更新

8月4日(土曜日)
性暴力被害者の支援者向けストレスケア入門
                                 講師:ヒューマンウェルネスインスティテュート代表、心理学博士 石井 朝子さん

 この講座は愛媛県でも性暴力被害者の支援を行うワンストップ支援センターの実質的な取組が始まることから、性犯罪・性暴力被害者の支援にあたっている方を対象に自身のストレスや心の傷つきに対するセルフケアとして、マインドフルネスの有効性について取り上げました。
 マインドフルネスとは、「今、この瞬間」の自分の体験に注意を向けて現実をあるがままに受け入れ、自分の身体の反応や気持ちを意識し気づいていく心のエクササイズです。
 午前中は講義形式で性暴力被害者と支援者の心の傷つき、支援者の燃え尽き(バーンアウト)の予防についてお話いただきました。
 性暴力被害のように生命が脅かされる体験をすると精神的ダメージが心の傷(トラウマ)となり、関連するものを見ると記憶が勝手に蘇る(フラッシュバック)など、時間が経ってからも被害者はその経験に対して強い恐怖を感じるようになります。支援者も被害者の体験を聴くことで心が傷つき、被害者が怒りの感情を支援者にぶつけてくる場合もあるため、トレーニングを積んでいても支援者自身に不安感や無力感などの感情が起こるといったような被害者と支援者が陥る状況について講師の石井さんから説明がありました。
 このような時、マインドフルネスを実践することで、ストレスな場面においても否定的な感情や物事にとらわれて飲み込まれることがなくなり、いつでも自分を取り戻すことが出来るようになります。支援者の燃え尽きを予防するためには、マインドフルネスのようなストレス軽減を行うほか、スーパービジョンを受ける、一人で抱え込まないで他の専門職の方と連携を取る、趣味など仕事以外の時間を作ることなどが大事なことも解説いただきました。
 午後は午前中に学んだ理論を踏まえて実技を行いました。マインドフルネスの呼吸法、ポージング(木のポーズをして8カウント)の2種類のワークを紹介いただき、これらを通じて参加者自身が自分の身体の感覚や気分を観察し、グループで共有しました。
 マインドフルネスはあるがままの自分の気持ちに気づくこと、それは自分を受け入れるということになります。練習を重ねることで自己コントロールすることが出来、とっさの時に的確な判断が出来るようになるほか、ネガティブな感情になった時もネガティブな行動が出ないようにすることが出来ます。
 今回の講座で、マインドフルネスの理論と実践を学び支援者自身のストレスケアについて考えるきっかけとなった受講者が多かったようです。

受講者の声

 ◆理論やこれまでの実践経験を基に座学をしっかり行っていただいたので、とわもわかりやすく、頭・体にしっかり入ってきました。

 ◆特に「支援者向け」ということで、自身の感じることとか支援者側の感じることなどが実感していることばかりで分かりやすかったです。ぜひ実践していきたいです。