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令和元年度アドバンスセミナー

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月24日更新

8月3日(土曜日)
児童・思春期のためのマインドフルネス入門        講師:ヒューマンウェルネスインスティテュート 代表、心理学博士 石井朝子さん

 今回のアドバンスセミナーは、教育や福祉の現場に携わっている方々を対象に、児童・思春期に問題行動を繰り返す子どもたちの心のメカニズムを知り、自己尊重の感覚を取り戻す支援について学びました。
 理論編では、弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy:DBT)についてのお話を伺いました。DBTとは境界性パーソナリティ障害と診断された人や、慢性的な自殺傾向をもつ人に対する包括的な認知行動療法のことを言います。特に衝動性の高い問題に有効な治療法で、思春期の問題行動として挙げられるリストカットや摂食障害、ドラッグやアルコールへの依存などの治療に使われているそうです。DBTにおけるマインドフルネスはダンスやウォーキングなどの激しく体を動かすものが多く、マインドフルネスをするだけでも衝動性がぐっと下がるとのことでした。
 マインドフルネスは、思春期特有の居心地が良い方に寄ってしまうバランスの悪い感情を、中道を歩いて行ける心の状態にするのが大きな目標です。本人だけではなく家庭の環境にもよるため、親が依存的だったり不承認だったりして感情を爆発させてしまう場合には、親も一緒にDBT、マインドフルネスをすることで養育環境を整えることができます。
 実践編では、実際にいくつかのマインドフルネスを体験しました。まずは呼吸のマインドフルネスです。グループで呼吸をした感想を共有してもらったところ、「眠くなってしまった」や「講師の言葉を追うのに必死になってしまった」等感情に気づくことの難しさを感じたようでした。
 次に、ウォーキングのマインドフルネスを行いました。自分の前を歩く人や足の感覚、自分の感情の動きを意識しながら歩くことで、呼吸とは違った意識の変化や、自分の中にあるネガティブな感情への気づきを得ることができました。
 最後に、BUZZ 7to50というゲーム感覚でできるマインドフルネスを行いました。やってみると思った以上に難しいゲームでしたが、その分達成感や一体感をより感じることができました。
 石井さんは「マインドフルネスは魔法ではありません。効果的に使えるようになるには、とにかく練習が必要です。ぜひ続けてみてください。」と締めくくられました。子どもたちの支援のために何か一つでも持ち帰ろうと、積極的に受講されている皆さんの姿が印象的な講座でした。

受講生の声

 ◆思春期の子どもの気持ちの状況に合わせたマインドフルネスについては初めて聞くことができ、良い学びとなりました。マインドフルネスの目的についても理解を深めることができました。

 ◆自分を見つめて大切にしていこうと思いました。この気持ちを、多くの子どもたち、身近な人にも持ってもらいたいと思います。

 

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