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令和2年度 リーダー養成セミナー 「リーダーにとってのチームづくり~人を活かす~」

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年4月1日更新

第1・2回  9月3日(木曜日)
リーダーのためのチームビルディング
                             講師:九州大学大学院総合新領学府客員准教授
                                 NPO法人日本ファシリテーション協会フェロー 加留部貴行 さん

 リーダー1

 初回ではコロナ禍で見えてきたこれからのリーダーシップについて学びました。
 まず職場等の現状について振り返り、コロナ禍の中で学んだこと、見えてきたチーム/リーダーの姿についてグループで話し合うワールドカフェを行いました。
 個人には限界があるため私たちはチームを作り、ものごとを進めています。チームは、1共通の枠組み(目的の共有) 2共働する意欲(いっしょにやろうとする気持ち) 3意思や行動の調整(コミュニケーション)の3つの要素で成り立っており、常にメンテナンスが必要です。
 またチームをまとめるリーダーシップには、牽引型、人格型、触媒型、奉仕型と多様なスタイルがありますが、自分の軸足を決めたうえで、目的に合わせて「管理」と「支援」のバランスを取ることが求められています。自分がやりたいことのために人を管理して仕切るのではなく、相手の望みを汲みとり支援することで自発性を促すのが支援の考え方です。
 これらを踏まえ、リモート時代のチームづくりでリーダーとして意識したいポイントについても学びました。
 これまでの働き方は同じ時間に同じ場所で働く同期集中型が基本でしたが、在宅ワークは時間も場所も合わせない非同期分散型です。このような多様な働き方の変化に抵抗するよりも受容し、ケースごとに本質を捉えバランスを取る必要があります。
 またリーダーには、報告、連絡、相談の「ホウレンソウ」よりも雑談、相談の「ザッソウ」ができる雰囲気づくりが大切です。さらに、短い時間で継続的に上司と部下が対話する1on1(ワンオンワン)ミーティングの時間を設けると、より一人ひとりと丁寧に向き合い、自立/自律を促すことができます。
 続いて、対話による共働の重要性について考えました。対話は「聴く」と「話す」の掛け算で成り立ち、5対5のバランスが最もパフォーマンスを発揮します。チームづくりのベースは対話による関係の構築です。対話することで情報の共有と共感ができ、そこから共働が生まれやがて共創へと繋がっていくのです。
 世の中の変化のスピードが加速し、因果関係の複雑性が増大し、社会の多様性が高まっています。誰も正解がわからない時代を生きていくうえで、正解を当てる、教えてもらうのではなく、対話により納得解を創り上げることが必要です。
 受講生は講義を通してさまざまな立場の方と対話し実践する中で、多様性を受け入れる柔軟さを身につけることが大切だと肌で実感されたようでした。

受講者の声

 ◆新たな視点でものを見て考えることの大切さを知ることができました。他の人のいろいろな意見をお伺いできて大変勉強になりました。「人とつながる」ことを改めて考えさせられました。講師の方のお話はとても参考になり面白く聞けました。

 ◆コミュニケ―ションが大切だという事は、色んな所で教えてもらう基本の話であるにも関わらず、毎回「そうだったな」と思い出すような感じがします。「対話」が出来ていないチームで仕事は出来ない。まずは挨拶、そして少しのことでも、雑談出来るような環境、職場づくりを自分から出来るよう、思いやりを持って働きたいと思います。

第3・4回 9月17日(木曜日)
リーダーと防災~いざという時の判断力、危機管理能力を高める~
                          講師:女性と防災の会 代表、日本防災士会愛媛県支部 副支部長 小國恵子さん
                          講師:一般財団法人消防防災科学センター 防災図上訓練指導員 毛利泰明さん

 リーダー2

 まずは小國さんから避難所運営における女性の参画の重要性についてお話をうかがいました。
 大規模災害が発生した場合、行政の力だけでは限界があります。阪神・淡路大震災での教訓をもとに、防災士制度が創設され、中越地震では国の防災基本計画に男女共同参画の視点が盛り込まれることになりました。
 しかし以降も計画が現場で反映されていない実態があります。例えば、男性ががれき撤去の肉体労働を担い、日当が支払われる一方で、女性は一日中食事を作り続けても対価が支払われないといったことが起こり、性別役割分担がより顕著になりました。このような問題は避難所運営のリーダーに女性がいれば改善できるうえに、避難所生活に関わるさまざまな要望に耳を傾けるには男性だけではなく女性の視点が不可欠となるのです。小國さんは防災にも男女共同参画が重要で女性も防災計画に関わり責任を持って役割を果たすことが必要だと述べられました。
 続いて、毛利さんから避難所の開設・運営についてお話をうかがいました。
 災害は「待ったなし」でやってきます。そのために、地域の実情に合わせた避難所運営計画を住民が主体となって作っておく必要があります。災害が大規模になるほど避難の期間は長期化する傾向にあることから、避難所は単なる寝食の場ではなく、人間らしい生活を送れる場所であるべきです。
 さらにコロナ渦における避難所運営を考えるうえでは、感染防止対策として、3密の可能性が高い避難所以外に避難できる場所を事前に検討しておく、分散避難という考え方があります。また、避難所内では避難者の健康状態、重症化リスクに応じたゾーニングの徹底、ソーシャルディスタンスを確保できる収容人数の見直しが必要となります。
 行政メインではマニュアル化した運営になりがちであるため、住民が主体となり運営することで柔軟な対応ができるようになります。
 こうしたお話を踏まえ、グループに分かれて避難所の開設・運営を模擬体験できる避難所運営ゲームHUGを行いました。避難所に次々と寄せられてくる情報を適切に捌く難しさを体感することで、実際の現場の混乱と事前に避難計画を準備しておく重要性を深く理解できました。

受講者の声

 ◆避難所運営ゲームHUGを体験してみて、事前準備、打合せの大切を痛感しました。災害だけでなく、これから起こりうるだろうことを予想、対処し、自分の身は自分で守ろうと思います

 ◆避難所を作るのは本当に大変だとわかりました。女性が過ごしやすいよう被害にあわないようその時には発言していきたいと思いました。

第5・6回  10月1日(木曜日)
リーダーのためのチームマネジメント~最高のシナジー(相乗効果)を創るために~
                                       講師:岡山理科大学 副学長・教授 秦敬治さん

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 スティーブン・R・コヴィー著の『七つの習慣』からチームマネジメントにおいてシナジー(相乗効果)を得るために必要なことについて学びました。
 相乗効果とはチーム全体の合計が各個人の和よりも大きくなることで、例えば1+1=3あるいはそれ以上の結果を出せることです。この相乗効果が成り立つためにはまず、個人の人としてのベースの部分が大切で、自分を律する力があることが必要だと考えます。
 続いて、相乗効果に至るためには、信頼の高さに比例した3段階のコミュニケーションがあることを押さえました。
・防衛的コミュニケーション(Win-Lose/Lose-Win)
 ……P(目的達成)もPC(目的達成能力)もなく信頼のない状態で自分の立場を防衛する。
・尊敬的コミュニケーション(妥協)
 ……丁寧に話し合うが難しい衝突を避けたいがために譲り合い妥協する。
・相乗効果的コミュニケーション(Win-Win)
 ……高い信頼に基づいて発揮され、1+1が2以上になり、チーム全員が生み出された案に対して決意できる。
 相乗効果の本質は相違点に価値を置き尊重し、強みを伸ばし弱さを補完することです。心を開いてお互いの意見を聞くことができる安全な環境を作ることで、相乗効果的なコミュニケーションが生まれ、新しい可能性、代替案について、ありのままオープンに表現できるようになります。するとそのコミュニケーションの結果は最初に自分が持っていた目標よりもはるかに優れたものになります。
 また、問題が発生したときに自分の外に原因があると考えるのではなく、自らの行いを振り返り自分を変えることが必要です。他人はコントロールできませんが、自分を変えることに集中することで、自分が変えられる範囲(影響の輪)を広げることができるのです。
 さらに、違う意見を得ることこそが人間関係のもたらす利点であると考えます。相乗効果の源は「相違点を尊ぶ」ことです。立場が違うと見える世界が違うため、相手がどの立ち位置で見ているのか考える必要があります。意見の相違やぶつかり合いがあったとき、相手の考えを理解し、相手が意識している事柄を考慮したうえで、問題を創造的に双方の利益になるような方法で解決していくことで、高いチームワークと相乗効果が得られていくのです。
 リーダーには自分のものの見方の限界を認め、他の人のモノの見方と考え方に接し、それを活かす謙虚さが求められていると改めて学びました。

受講者の声

 ◆「相違点を尊ぶ」ことを意識して仕事に取り組みたいと思いました。仕事を進めるうえで、反対意見があると時間的な制約もありつい否定しがちですが、一度は受けとめようと思います。

 ◆シナジーを得るために自分から信頼や、相手への理解のために行動しなければならないと学びました。仕事でも役立てるように、新しいアルバイトの方々とも話をしたいと思います。

第7回  10月15日(木曜日)
仲間と輝く~プロレスリングに夢と地産知笑をのせて~
                       講師:愛媛・伊予観光大使、愛媛プロレス代表 キューティエリー・ザ・エヒメさん

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 愛媛プロレス旗揚げの経緯や、培ってきたリーダーとしての役割についてお話をうかがいました。
 愛媛県はエンターテイメントのほとんどを県外からの供給に頼っている状態です。そこでキューティエリーさんは県内に地域固有の新たなエンターテイメントを提供することで、イベント販促費の内需拡大につながると考え愛媛プロレスを旗揚げしました。地域固有のエンターテイメントに触れる頻度と地域への愛着は比例するため、老若男女が楽しめる愛媛プロレスを高品質なものとすることで地域活性を目指しています。
 愛媛プロレスを旗上げした当初は、全員がプロレス未経験で道場がない、プロレス業界のしきたりがわからないといった多くの課題を抱えていました。そんな中で団体が成長し続けるためにキューティエリーさんはさまざまな戦略的な取り組みを行いました。その戦略として、収入源となるターゲットを一般客からイベント運営者に舵を切りイベント販促費で経営を賄う方針に転換、「お母さんがお子様に見せたいプロレス」というコンセプトのもと地域創生のビジョンを一気通貫で持つ、広報デザインへの投資、多種多様な興行団体との協働、PRへのこだわり等があり、成功に繋げました。
 リーダーに必要なのは進むべき方向を決めることです。ビジョンを持ったリーダーが情熱をもって楽しみながら新しいことを始める姿に、人が共感して集まりチームが生まれます。リーダーの役割は共感してくれる第一のフォロワーを見つけ育てることです。さらにリーダーはその活動が誰の幸せを応援しているのか、その目的を仲間に伝えることも大切です。
 最後に、男女共同参画についても触れられました。先進国と比較して日本のジェンダー・ギャップ(経済、政治、教育、健康の4つの分野における男女格差)が大きい現状について解説され、リーダーの基礎教養として知っておくべきで未だ解決していないこの課題を考え変えていく必要があると語られました。
 受講生は講義を通して伝わってきた“Boys and girls, be ambitious!” というキューティエリーさんのエネルギッシュなメッセージに元気づけられているようでした。

受講者の声

 ◆私は、リーダーとして経験が浅いですが、自分のビジョンについて人に話したことも、誰かのビジョンについて聞いたこともないと気づきました。ビジョンと言えるほど大げさなものではありませんが、もう少し共に働く人々に話す方がいいのかもと感じました

 ◆女性リーダーとして実際に活躍されている方の体験談を楽しく聞きました。あきらめない気持ち以上に地域を愛する情熱が伝わってきてそのパワーがみなに通じるのかなと感じました。